「岡崎に捧ぐ」という童心に帰りたい全大人に読んで欲しい最高の漫画

読書
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前回のレビューで少し感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、僕は20代半ばからある種多感な時期に突入してしまったのか、「人生」みたいなテーマを含んだ作品が好きです。加えて笑える作品が大好きです。

 

今回はそんな僕の欲望をパンパンに満たしてくれた作品をご紹介します。

 

 

 

 

山本さほ先生の「岡崎に捧ぐ」という漫画です。

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もう何十回も読み直しているのですが、何度読んでも面白いし響くものがあるので今回紹介することにしました。

 

「岡崎に捧ぐ」ってどんな作品?

 

一言で言えばこれは作者の山本さほ先生と親友である「岡崎さん」とのノンフィクション人生記録です。

 

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加えてこの「岡崎に捧ぐ」という作品が生まれたきっかけが、他の漫画とは異なっっていて少し珍しいのも特徴です。

 

普通、漫画っていうのは自分で考えた話なんかを、漫画家になることを目的に書き始めるのが普通じゃないですか。

 

でも本作が作られたきっかけは、「岡崎さんの結婚のサプライズ」です。

 

岡崎さんの結婚が決まったことを機に山本さほ先生は結婚式のサプライズとして、自分の得意な絵を描く事を駆使して、二人の小学生からの思い出をまとめた作品を漫画として描く事にします。それがこの本作、「岡崎に捧ぐ」です。

 

 

結婚式のサプライズでこんなの作ります?

 

 

結婚式のサプライズって大概ニヤケながら宴会芸に産毛が生えた程度の地獄であることが大半じゃないですか。それをこんな作品に昇華するなんてそれだけで山本さほ先生の岡崎さんへの愛を感じまくります。

 

 

今回は前回のレビューと同じように、「岡崎に捧ぐ」の魅力を3つに絞ってご紹介したいと思います。

 

魅力① 絶妙な笑いのセンスが最高

そもそもこの作品、初めは嫁が見つけてきて勧められて読み始めたのですが表紙を見て「これ、『ちびまる子ちゃん』みたいやな。ネットで話題!みたいな帯付いとるけどこういう奴は大抵泣ける系やし、『ちびまる子ちゃん』を感動路線にしたみたいな感動系の話だろうな」と思っていましたが、とんでもない勘違いをしていました。

 

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凄く稀有な環境+山本さほ先生の笑いのセンスが相まって一つ一つのエピソードがめちゃめちゃ面白いのです。

 

友達のお父さんを肘置きにするとかいう経験ある人います?

 

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あとはクスリと笑えるようなところもあり、

 

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僕の大好きなパロディネタも多分に含まれています。

 

そもそもここまで様々な思い出を記憶していることもすごいのですが、その思い出をポップかつ面白く表現できる山本さほ先生のセンスにはマジで脱帽です。僕自身も人を笑わせるような記事を書きたいという目的があるので、勉強にもさせてもらっています。

 

もう正直、この作品はどこを取っても面白いところばかりで、面白い場面なんかを紹介し始めるとキリがないので、あとはご自身の目で確かめてください(子供の頃よくあった自主性を重んじる攻略本のラスト)

 

魅力② 自分の人生を振り返れるノスタルジックな内容が最高

僕にとってはここが一番「岡崎に捧ぐ」に感じた魅力でした。

 

僕はアラサーで、山本さほ先生も歳が近いので、この作品で紹介されるエピソードがマジで響きまくります。屋外を駆けずり回っていたあの頃が鮮明に思い出されます。

 

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「ぎゃおっぴ」まだ覚えている人います?

 

このワードが出てきただけで笑えましたね。僕もたまごっちのパチモンを買ってもらっていた記憶があります。ただ、画面内にう●こが溢れかえっていた画しか浮かばず、ある種のトラウマです。

 

余談ですが大学生になってから家で未開封のたまごっちを見つけ、「小学生当時は学校があったからなかなか育てられなかったけど、今なら暇ありまくるし、育てられる!」と思って始めたのですが、なんと長時間のバイトが終わってみると昇天してました。育成がシビアすぎるって。マンボウの赤ちゃんかよ。

 

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あとはこの刀狩りがウチでも行われていました。

 

そんな刀狩りに対応してウチで流行ったのはバトルエンピツではなく、ボタンバトルでした。

 

え?ボタンバトルって何かって?

 

文字通り、ボタンでバトルんですよ

 

え?ボタンって何かって?

 

 

服につけるボタンですよ

 

 

服につけるボタンを指で弾きあって机から落とし合うバトルゲームですよ

 

 

高度経済成長期の子供か

 

 

今思うとただのおはじきやないか、と思いますが当時はそれが楽しくて仕方なかったんですよね。

 

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僕も近所のダイエーの2Fに入り浸ってゲームをしまくっていました。マジで山本さほ先生も書いてますが、何が面白くてボタン押すだけのゲームに熱中していたのか今となっては謎ですね。

 

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駄菓子屋もめちゃめちゃ行ってましたね。おばあが一人でやっている駄菓子屋が、自転車での移動圏内に3店舗くらいありました。

 

初めて駄菓子屋に行った時、おばあのジョークの代名詞の「はい60万円ね」(60円を60万円という小ボケ)の意味がわからず、「これがなんか聞いたことある『ぼったくり』ってやつか!!?」と硬直してしまった記憶があります。

 

こんな感じで、自身の子供時代を振り返れるようなエピソードが多いです。

 

なんでしょうね。僕だけかも知れませんが、子供の頃の記憶とか思い出すのすごく好きなんですよね。子供の頃やってたゲームとか見つけるとすぐ買っちゃいますし。

 

この「岡崎に捧ぐ」も懐かしい頃を思い出したい僕にとってはぴったりの作品でした。

 

魅力③人生の大事なことに気づかせてくれる内容が最高

 

ここまでの紹介を見てくださった方は「なるほどね、笑えて感じで子供時代のあるあるが詰まりまくったちびまる子ちゃんみたいなものね。おもしろエッセイ漫画なのね」と思われたかもしれませんが、それで終わらないのが「岡崎に捧ぐ」の素晴らしいところです。

 

僕がここで「岡崎に捧ぐ」を紹介しようと思ったのも、ただ笑えるだけでなく自分の人生について考えさせられるような内容があったからです。

 

 

とりあえずここではいくつかグッときたシーンをご紹介します。

 

 

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小学生編で「冒険をしよう」と言い出すときの話です。

 

このシーンを見て、確かに子供の頃は行動範囲が狭くて今だったら何の感動もない近所の公園でも、雑木林でもすごいワクワク感を持って楽しめていたなと思います。

 

家の近くの雑木林で墓を見つけ大騒ぎしたり、めちゃくちゃ長い坂を見つけ毎日チャリレースをしたり、家の近くの個人の人がやってるギャラリーを勝手に秘密基地にして家主に追いかけられたり……

 

思い出すだけであの頃は良かった……とまさしくジジイみたいなことを言ってしまいます。

 

 

あとは高校編のプールに忍び込むシーン。

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「どんどんできることが増えていくのに、なんであの頃よりつまらないんだろう」

 

 

なんですかこの大人を殺すために生まれたようなセリフは

 

 

さっきの小学生編の冒険のくだりとつながる部分がありますが、これはまさにそうですよね。

 

子供の頃は100円を大事に握りしめてチャリで駆け回っているだけで出来ることも全然なかったのに、めちゃめちゃ楽しかったんですよね。

 

ただ僕が「岡崎を捧ぐ」を読んで感じてもらいたいのは、「あの頃は良かった。今は何にも楽しくない」という厭世的な思いではありません。

 

「岡崎に捧ぐ」から学べる人生の教訓が僕には二つありました

 

 

まず一つ目は「失敗は人生の全てではない」ということです。

 

 

山本さほ先生が成人してからこんなシーンがよくあります。

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大学受験やら、なんやらが色々とうまくいかず山本さほ先生は引きこもったりしてしまうんですが、この本を読んでいる時点で読者のみんなは「山本さほさんが漫画家になっている」というハッピーエンドを知っているわけです。

 

なので、逆にこういったシーンから「例え何かで失敗したとしても、それが人生の全てではない」ということを僕は感じました。

 

失敗続きで自己嫌悪に陥ったとしても、それは新しく何かを挑戦することとは全く関係ありません。失敗が続いているからといって新しい何かにも失敗するわけでは決してありません。

 

誰しも冷静に考えればそんなことはわかるはずなのに、自信を失って腐っている人ってたくさんいますよね。かくいう僕も人のことは言えないのですが。

 

毎週ブログを更新してもほぼ読まれない(最近は嫁すらも読まなくなった)僕も、腐ることなく挑戦し続けようと思います。

 

 

そして二つ目は、

「自分を大事に思ってくれる人を心から大事にしよう」

です

 

 

言うまでもなく、この漫画は親友である「岡崎さん」との物語なのですが、岡崎さんはもちろん、山本さほ先生の周囲には良いなと思う人がたくさんいて、山本さほ先生は本当に人の縁に恵まれているなと思うわけです。

 

まずは岡崎さんのエピソードを一つ。

 

専門学生時代だったと思いますが、山本さほ先生が何気なしに自分のブログに「画材を買うお金がない」と書き込みます。

 

 

すると、親友の岡崎さんがすぐに訪ねてきて

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いきなり大金を渡してくるわけです。

 

こんなことできます?

 

これを読んで、岡崎さんってマジですげえなと思いました。掛け値なしで友人にポンとお金を渡したりっていうのはなかなかできないと思います。

 

ましてや、岡崎さんは全然お金持ちなんかじゃないですからね。親友の「お金に困っている」と言うブログを読んですぐ、自分で働いて稼いだバイト代を握りしめてやってきたわけです。

 

 

そもそも岡崎さんにそこまでのことをさせてしまう山本さほ先生の人望もあってのことなんでしょうけどね。

 

 

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この一コマも本当に最高。

 

ここに至る流れはいくら文章で説明しても意味がなさそうなので、ぜひとも本作を読んでください。

 

あとは、杉ちゃんにムラタクに……とマジでめちゃめちゃいい人ばかり出てきます。

 

本作を読んでいると、山本さほ先生が漫画家たる理由も周囲の人々の影響や支えが多かったように思います。もちろん、ご本人に努力や面白さもあるのですが、いい友人たちに恵まれているなぁとしみじみ思うのです。

 

これらの登場人物やシーンから僕が思ったのは、今身近にいる「自分を大事に思ってくれている人」を再認識して大事にしようということでした。

 

人ってやっぱりどんなものにも慣れてしまうので、身近な人であればあるほど、仲が良ければ良いほどやっぱりだんだんと大切さがわからなくなってくるものだと思います。だからこそ、人と人とのつながりを再認識して今自分の周囲にいる人たちに感謝しなければと思いました。(宗教にハマっているわけではありません)

 

というわけで「岡崎に捧ぐ」のレビューでした。

 

漫画として絵柄も読みやすくサクサク読めるので興味を持たれた方はぜひとも読んでみてください。

 

 

ちなみに山本さほ先生の作品はかなり持っていますが、ほかの作品も最高です。

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「岡崎に捧ぐ」を読んで面白かった方、もしくは「岡崎に捧ぐ」しか読んだことない方は是非ほかの作品も手にとってみてください。

 

そしてまた作者様にリツイートされることを祈って寝ます。

 

頼む、朝起きたらバズっていてくれーーーーーーっっっ!!!!!

(人の漫画のレビューでバズろうとする他力本願の王)

 

 

 

 

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