どうも、数ヶ月までミステリ作家を目指していた負け犬です。
僕はミステリ作家を目指していただけあって、この3年間で150冊以上のミステリを読みました。
ミステリってなんぞ?という読者の方にめちゃめちゃわかりやすく説明すると、ミステリってのは謎解き小説です。
いわゆる「名探偵コナン」や「金田一少年の事件簿」「探偵学園Q」「シャーロック・ホームズ」なんかをイメージしてもらえば分かりやすいかと思います。
このミステリがね、マジで面白いんですよ。
僕もコナンとか金田一は子供時代から見ていましたが、あまり好きにはなれませんでした。
転機が訪れたのは、3年ほど前、我孫子武丸先生の「殺戮にいたる病」を読んだ時です。
そして「十角館の殺人」でミステリにどハマりしました。
そんなわけである程度の長い歴史を持つミステリですが、長い歴史のせいか、はたまた新時代なのかマンネリをぶち抜くようなヤバイ作品が生まれまくっています。
というわけで今日は150のミステリ作品を読んでいく中で出会った僕の大好きなブッとんだヤバイミステリ作家をご紹介します(褒め言葉です)
まずは「狂った」「ブッとんだ」の定義から定めておきましょう。
・設定が狂っている
・トリックが狂っている
・ギミックがぶっ飛んでいる
この三拍子のどれかに当てはまる作品を書く作家様を紹介致します。
ちなみに今回紹介する作家様はミステリ初心者の方には少し高度すぎる場合があるので、個人的にはある程度ミステリを読まれた中級者〜上級者の方向けです。
それでは早速かましましょう。
鬼畜系特殊設定パズラー 白井智之
いきなりとんでもない肩書きから始まりました。
最初は新鋭若手ミステリ作家の一角を担う白井智之(しらい ともゆき)先生です。
白井先生の作品を説明するにあたって、ゴチャゴチャと僕の稚拙な文章で説明することはありません。白井先生が執筆した作品タイトルを見ていただければ、良いかと思います。
「人間の顔は食べづらい」
おわかりいただけただろうか?
このタイトルから想像してもらえば良いかと思います。
ちなみに某あなたの臓器を食べたいです的作品のシステムではなく、内容に関しては本当にタイトルそのままの感じです。マジで人間を食います。他の作品のタイトルで行くと「お前の彼女は二階で茹で死に」とかあります(タイトルセンスが狂い過ぎてて最高)
このタイトルだけでいけば、ただのスプラッタ小説なのですが、ここにミステリがきっちり絡んで唯一無二の作品を作り上げるのが白井氏の素晴らしいところ。
特に
「東京結合人間」(日本推理作家協会賞候補)と
「おやすみ人面瘡」(本格ミステリ対象候補)は
ミステリ的にも新しく、度肝を抜かれました。
とりあえず「東京結合人間」の冒頭を載せておくので、どんだけぶっ飛んでいるのか判断してください。
1ページ目からこれで「おいおい、いきなり官能かい?参ったなぁ(満更でもない)」と思って次のページを開いたら、
女性が身体ごと男性の肛門の中に入って行きました。
何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった…と言ったポルナレフの気持ちが今ならよくわかります。
気になった方は是非読んでください(官能小説ではありません)
唯一無二の新時代ミステリ作家 早坂吝
こちらも新鋭若手ミステリ作家の希望、早坂吝(はやさか やぶさか)先生です。
早坂吝先生はあとがきか何かで「新しいことをやるのが好き」と語っておられたような記憶があるのですが、その言葉に相応しく前例のないミステリを生み出しまくっています。
どう前例がないのか説明するなら、早坂先生のデビュー作を見ていただくのが早いでしょう。
※講談社様サイトより引用
これはミステリ界に風穴をブチ開けた前代未聞の「タイトル当てミステリ」です。
ただ誤解のないように言っておくと、話の内容としてはちゃんとしたミステリです。そのちゃんとしたミステリに加えて、読者への挑戦状として「タイトル当て」が組み込まれているという前代未聞に贅沢なミステリなのです。
さらに言っておくと、この「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件」から連なる「援交探偵上木らいち(画像左の赤髪の女の子)シリーズ」は超前代未聞のエロミステリです。
そして凄いのはただエロいミステリなのではなく、「ミステリのトリックにエロが必然的に絡んでいる」点。もう唸るしかありません。
真面目な分析を書いていますが、男ですので単純な下心でも楽しめます。僕もらいちと一事件を共にしてえ……。
あとこれは僕の主観でも申し訳ないのですが、エロミスの良い所は「ミステリ好き」という建前で堂々とレジに持っていける所ですね。「え?エロミス?いや俺、この人の斬新なトリックが好きなだけだからね?」みたいにしれっと本棚に置いとけるオシャレエロ本でもあるんですよ。
つまり男子中学生の心強い味方です。中学生の時に出会いたかった……(不純すぎる賞賛)
この作品の他にも人工知能をテーマにした「探偵AIのリアル・ディープラーニング」や「誰も僕を裁けない」も最高にオススメです。
ミステリ×グロ×シュールギャグの鬼才 飴村行
最初に紹介した白井智之先生が愛読していたというのがこの飴村行(あめむら こう)先生です。
白井先生とは別ベクトルでグロテスクで暴力的な描写の多い飴村先生。
とりあえず、何がぶっ飛んでるかわかりやすいデビュー作「粘膜人間」のあらすじから行きましょう
「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。
Amazon商品紹介より引用
これね、大したネタバレじゃないので言っちゃいますが「グロテスクな容貌を持つ彼ら」ってのはカッパなんですよ。
めちゃめちゃぶっ飛んでるでしょ?
あと
飴村 行(あめむら こう、1969年1月21日 -)は、日本の小説家。福島県出身。 東京歯科大学中退。暴力的でグロテスクな作風の作家である。
wikipediaより引用
wikiにもこんなことが書いてあってこれだけ見ると「暴力・グロ」しか浮かばないんですが、僕が飴村先生を推すのは何よりもその圧倒的なギャグセンスとリーダビリティです。
僕も芸人を志していた時期があったり、今も万人が笑えることを目指すブログを書いていたりと笑いには少し厳しい面があるのですが、そんな僕がミステリ小説というジャンルで読んでいて噴き出したのは後にも先にも飴村先生だけだと思います。
そしてリーダビリティ。
本当に数十冊に一冊くらいの割合で「夜寝る間も惜しんで続きを読んでしまう本」がありますが、飴村先生の「粘膜蜥蜴」はまさにそれでした。
もうね、飴村作品については「合う人はめちゃめちゃ合う」、「合わない人は全く合わない」って作品だと思うので言葉でごちゃごちゃ綴るよりも、読んでいただくのが一番だと思います。僕は初めて「粘膜蜥蜴」を読んでから即、粘膜シリーズを全て買いました。
グロテスク描写が問題ない方は是非、読んでみてください。
ちなみに飴村先生はホラー大賞でデビューされてますが、「粘膜蜥蜴」は完全にミステリなので、僕は立派なミステリ作家として認識しております。
探偵に推理を放棄させた問題作家 柾木政宗
兎にも角にも柾木政宗(まさき まさむね)先生を語るならデビュー作である「NO推理、NO探偵?」の話からするしかないでしょう。
おわかりいただけただろうか?
アンビリバボーの恐怖特集の感で行きますね(どういう宣言)
それではおわかりいただけなかった人のためにもう一度……
兎にも角にも柾木政宗(まさき まさむね)先生を語るならデビュー作である「NO推理、NO探偵?」の話からするしかないでしょう。
REPLAY
(アンビリーバボー風)
兎にも角にも柾木政宗(まさき まさむね)先生を語るならデビュー作である「NO推理、NO探偵?」の話からするしかないでしょう。
「NO推理、NO探偵?」
ミステリ小説やで?
「ミステリにNO推理、NO探偵とは一体何事か、けしからん!」ミステリ頑固おやじの方であれば、ちゃぶ台をぶん投げているところでしょう。
とりあえずあらすじを見ていただきましょうか。
メフィスト賞史上最大の問題作!!私はユウ。女子高生探偵・アイちゃんの助手兼熱烈な応援団だ。けれど、我らがアイドルは推理とかいうしちめんどくさい小話が大好きで飛び道具、掟破り上等の今の本格ミステリ界ではいまいちパッとしない。決めた! 私がアイちゃんをサポートして超メジャーな名探偵に育てる! そのためには……ねえ。「推理ってべつにいらなくない――?」。
Amazon商品紹介より引用
推理はいるだろうが
僕は初めてこの作品を知った時純粋にそう突っ込みました。そして、読み終えてマジで度肝を抜かれました。
もうね、これは読んでいただくのが一番ですよ。ミステリ好きこそ一読しなければならないミステリ界をぶち抜いた一作です。多くは語るまいよ。(今日3回くらい使ってるブロガーとは思えない汚い逃げ文句)
この作品だけではなく、次作の「朝比奈うさぎの謎解き錬愛術」も設定からド変態ミステリで狂っているのでオススメです。
超絶技巧のミステリ奇術師 泡坂妻夫
ラストはこの方です。ミステリ好きの方なら知らない方はいらっしゃらないかも知れませんが……泡坂妻夫先生です。
ミステリ初心者の方でもその凄さがわかりやすいという点でいえば、今回紹介した5名の作家の中でもダントツ1位かも知れません。
この泡坂妻夫先生の作品はもう「超絶変態技巧ギミック作品」と呼んで差し支えないと思います。そして率直に言えばもう前情報なしで読んでいただきたいです。特に「しあわせの書」ですね。
断言できますが、この泡坂妻夫先生の「超絶変態技巧ギミック」の作品は、設定を思いついたとしても僕には絶対に書けません。発想も狂ってますが、それを実際に作品として完成させているところがヤバすぎます。変態です。ド変態です。
何を言っているのかわからないと思いますが、とにかく読んでみれば誰でもその凄さに度肝を抜かれると思います。
この帯でもうめちゃくちゃ気になるでしょ?
驚愕のギミックをその目で確かめろ……(昔の攻略本END)
というわけでぶっ飛んだミステリ作家5選を紹介致しました。
ミステリにある程度慣れてきた中級者以上の方は是非とも挑戦してみてください。
ちなみに「麻耶雄嵩先生」は殿堂入りなのでここでは紹介しませんでした。いずれ麻耶雄嵩先生特集も書きたいです。
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