僕の忘れられない思い出のおじいちゃん歯医者さん

思い出
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おはようございます。百井桃太です。

 

突然ですが皆さん、歯茎ガンガンいじめてますか?

 

 

僕といえば若手歯槽膿漏界のホープと呼ばれる逸材なので、夜な夜な歯茎に専用機械で水流のジェットをぶち込んでいます。「あががが」と言いながら口の中に小さなホースみたいなもので水流をぶち込んでいます。そうしないと不安なくらいに問題ありまくりの、相撲界並みの口内環境を持っている僕なのですが、今日はそんな僕の歯医者の思い出を語りたいと思います。

 

子供の頃から、歯が弱かったのか、はたまた僕の飼っている虫歯菌が強かったのか虫歯になることが多かったです。小学校の授業か何かで「歯が磨けていなかったら、その磨けていない箇所がピンクに染まる」という薬を使って児童たちに己の歯磨きの至らなさを教えるという謎企画があったのですが、歯が万遍なくピンクになって「妖怪・フル歯茎」を名乗り友達を怖がらせるくらいでしたから、もしかすると歯磨きのスキルが著しく欠落していただけかもしれません。

 

幸か不幸か、家の目の前に歯医者があったので虫歯になるたびにいつも徒歩でその歯医者に通っていました。中学生くらいになると定期検診にも行かなくなりましたが、大学になって女友達から貰ったハリボーを勢いよく噛んだ際に銀歯が持っていかれたことからまたその歯医者に通うこととなりました。

 

銀歯が外れたにもかかわらず、かつらリスペクトの元の場所に被せるだけスタイルで元に戻し、粘着力のあるものを食べるたびに外したり付けたりという生活を3ヶ月くらい送った僕の銀歯の部分には大量の虫歯ができていました。治療は熾烈を極めました。大学生にもなって「キュイーン」という歯医者独特のヤベエ音にめちゃくちゃ強く拳を握る僕を見ておじいちゃん先生は言いました。

 

「歯はね、体と一緒でね、定期検診が大事なんだよ」

 

涙を浮かべながらこくりと頷いた19歳の僕はそれから2〜3ヶ月おきに必ず歯の定期検診に通うようになりました。

 

そのおじいちゃん先生は横になっている僕の腹の上に無許可でまあまあ重い道具箱を置いたり成人を迎えた僕の顔のところに「はははのはなし」というどう見積もっても対象年齢5歳以下の絵本を持ってきて読み聞かせしたりと、一歩間違えば狂人ともなり得る人間らしさを秘めていましたが、物腰は柔らかく素敵なおじいちゃん先生でした。

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そうして通い続けて5年ほど経った時、受付の人から突然言われました。

 

「実は閉院することになりました」

 

驚いた僕ですが、先生は確かにご年配のおじいちゃんでしたし、悲しいけれど致し方ないのだろうと思いました。最後に検診してもらったときには「うん!よぉく歯磨きができとる!綺麗な歯をしとるよ!」と言ってくれたおじいちゃん先生に「長い間ありがとうございました!」と頭を下げました。

 

身近な歯医者がなくなってはしまったのですが、定期検診に行くことだけは続けたいと思いました。だって恩師(おじいちゃん先生)が教えてくれた大事なことだから……。

そして3ヶ月後……今度は少し離れた若い先生がやっている評判の良い歯医者に行くことにしました。

 

先生「これはひどい。末期の虫歯がありますよ」

 

検診1回目から僕は耳を疑いました。マジで「はい?」という言葉が自然に口から漏れました。だって前回は3ヶ月前に検診に行ったし、ここ5〜6年はずっと検診に通っていたし……

 

先生「これは進行度で言うと2年くらい経ってますねェ……」

 

おい、おじいちゃん。

僕に口を開けさせて何を見ていたのか。

 

先生「なんでこんなになるまで……オォン?」

そしてちょっと半ギレの熱血若手歯医者。

 

いや待て。僕は潔白だ。

僕はかくかくしかじかで〜と検診に通っていたことを若い先生に話しました。すると

 

先生「は? なんでこんなひどい虫歯見つけないんだよ」

 

とたんにブチギレる熱血若手先生。

僕はとりあえず苦笑いだけしてやり過ごそうとしました。

 

先生「なぁ」

 

え?僕に言ってる?

 

なんで初見の歯医者でこんなに威圧されねばならないのか。

そして具体的な治療の方法に入りました。また削らなきゃいけないのかと思っていたら

 

先生「かなり進行してますからこれは神経抜かないといけないですよ」

 

!!!?

 

神経抜くというこれまで御伽話だと思っていたワードが聞こえ僕は全身を硬直させました。いや、神経って抜いていいもんなの?抜くという動詞が使える単語って歯とゴボウと気とポコチャンだけじゃないの?

落ち込んだのも束の間。早く抜かねばもっと悪化するとのことで即翌週にサルベージ神経かますことになりました。

 

当日は地獄でした。

 

治療が始まる前、先生は言いました。

 

先生「痛かったら左手あげてくださいね」

 

そして作業が始まりました。しばらくしてとんでもない激痛に襲われました。手をあげるとかできないくらいの目をギンギンに見開いて「ウウウ……ギギギ……」と唸るレベルの激痛でした。僕は神経を抜いたことがなかったのでその時は気付きませんでしたが、麻酔をしてませんでした。

 

いや「痛かったら左手あげてくださいね」は神経抜くレベルのやつの時使う手法じゃないだろ

 

普通に麻酔しろ

 

マジで引っこ抜かれる感があって激痛が走ったことだけは一生忘れられません。

そして神経を失った僕はおじいちゃん歯医者に憎しみを抱きました。

 

何が「うん!よぉく歯磨きができとる!綺麗な歯をしとるよ!」なんだ。その時すでにもう取り返しのつかないレベルの虫歯に僕の左上の歯は犯されてたのだ。

 

僕はかのおじいちゃん先生を死ぬまで忘れないでしょう。

もしも見かけたら全力の笑顔で言います。

 

僕の言った「ありがとう」と神経を返せ

 

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