【就活】魔のグループディスカッション〜ファッキューありがとうカード〜

思い出
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久々の「就活シリーズ」第三弾です。まぁ、もうそんなにネタもないのでこれで最後となるかもしれません。いや、我ながらよく覚えているもんだと感心します。

 

ちなみに第一弾、第二弾を見ていない方は先にそちらをどうぞ。

 

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今回の事件が起こったのは僕の第一志望企業でのグループ・ディスカッションの時でした。

 

グループ・ディスカッションというのは就活生達数人がグループとなり、一定時間の中であるお題について討論をし、結論を導き出すという就活試験の一つの方式です。

 

具体的な例えだと、就活生6人くらいでグループを組まされ、「仕事をやる上で大事なのはやりがいか?給料か?」みたいなふわふわっとしたお題が出され、あとは制限時間15分程度で自由に討論し、そのお題に対しての「グループの見解」を代表者が発表するといった感じですね。

 

これはあくまで就活試験なので、この討論の中でいかに意見を発信していたか、いかに傾聴できていたか、議論の中でどんな役割を担っていたかなどを個人レベルで面接官がチェックしており、合否に影響してくるというわけですね。

 

そんな臨機応変さが求められるグループ・ディスカッションですが、僕自身は結構得意としていました。

 

なんでしょうね、僕はなんかパッと聞いた感じ「あれ?そっちの考え方の方が正しくない?」と思わせるような妙な説得力を持った奇抜なことを思いつくのが上手かったんでしょうね。しばらく考えてみると「あれ?でもその意見おかしくね?」となるんですが、グループ・ディスカッションの短い時間の中では誰にも気づかれないので僕は「幻影詭弁(ファントム・ワード)」と名付けていました。みんなが一つの方向の意見に流れ始めているときに、「幻影詭弁」でよく議論に一石を投じていました(場荒らしみたいな聞こえですが、そういうわけではない)

 

そして、第一希望の企業のGDの日。

 

その時のGDは僕を含めて4人体制でした。男3人女性1人という体制で4人と面接官だけの個室に通されました。

 

与えられた制限時間は確か45分くらいだったと思います。これはこれまでやってきたGDの中でもかなり長い方でした。

 

そしてテーマは「社員のモチベーションを上げるための改革制度を提示された10の中から3つだけ選んでその理由を発表する」というものでした。うむ、45分という結構長めの時間が与えられているだけあって歯ごたえのありそうなテーマです。

 

男性陣の中の一人、少し毛髪が薄気味のメガネの方が仕切りを始めたのでリーダーはお任せし、とりあえずは5分程度で個々人が良いと思うものを5つくらいに絞ってみましょうということになりました。

 

記憶が定かではないですが、確か項目は

 

・インセンティブ方式(成績優秀者への報酬制度)

・社内表彰制度

・リフレッシュ休暇制度の導入

・フレックスの導入

 

みたいな感じだったと記憶しています。

 

ふむふむ、とそれぞれの一長一短を頭で整理しながら見ていくととある項目に目が止まりました。

 

 

・ありがとうカードの導入

 

 

地雷臭がプンプンなんだが

 

 

説明を見てみると

 

 

「従業員間で感謝の気持ちを伝える『ありがとうカード』を配布する」

 

 

ダントツのナシだな

 

 

これはもうどう考えても一発目から外す項目でしょう。いえ、別に「ありがとうカード」自体を批判したいわけではありません。今回、10個ある項目の中で3つを絞り出すというシステムなのでこの「ありがとうカード」が従業員のモチベーションを上げる施策TOP3に入ることはまずないなと思ったわけです。

 

余談ですが、うちの会社も数年前「ありがとうカード」らしきものが導入されました。確か、社長の思いつきだったと思うのですが今現在、「ありがとうカード」の束は備品倉庫の奥に眠っています。まぁ、やっぱり目的なんかがしっかりしていないと浸透しませんよね。多分、社長も何かで見かけて「これいいじゃん」と思って導入したんでしょうが、そもそも確固とした目的がないのに手段だけ導入してももちろん浸透しないんですよね。まさに「導入することが目的となってしまう」手段の目的化ってやつです。ちなみに僕は一枚も書くことはありませんでした。

 

そうして5分が経過。とりあえず各々選んだ施策を発表しようということになりました。

 

確か男性陣は結構似通ったものを選んでいた気がします。ただ違っていたのは僕だけが「インセンティブ方式」を選んでいなかったくらいでしょうか。うむうむ、なるほど最初の絞り出しの段階でここまで意見が一致していれば、残り時間でチョチョイと調整すればグループとしての意見はすぐに出るだろう。

 

と思って女性の方に発表が回った矢先

 

 

女性「私は『ありがとうカード』を選びましたぁ」

 

 

はい出ぇた

 

 

「ありがとうカード」という言葉が女性に口から発された瞬間、場に緊張が走ったのは今でもはっきり覚えています。おそらく他の男性陣も10個の項目を見た時、真っ先に「ありがとうカード」を消去したのではないかと思います。一瞬、男性陣の間で「おいおい、どうするよ」という視線が行き交ったので間違い無いでしょう。

 

アイコンタクトで「とりあえず理由訊いてみるわ」と語った薄毛メガネリーダー。引きつった笑顔で女性になぜ「ありがとうカード」を選んだのかその理由を問いました。

 

女性「私は『ありがとう』って言葉が大好きなんですよぅ〜」

 

リーダー「ほ、ほう」

 

女性「『ありがとう』って言葉は〜、この世界で一番良い言葉だと思うんです〜。ほら、『ありがとう』って言われると誰でも本当に幸せな気分になるじゃないですか〜。だから、『ありがとう』をどんどん拡散していけばみんな幸せになると思うんですよ〜。拡散していこうと思ったらこの『ありがとうカード』って何より一番素晴らしい施策だな、って思ったんですよ〜。だってこの『ありがとうカード』で『ありがとう』をみんながみんなに伝え続ければどんどんみんな幸せになっていくじゃないですか〜。モチベーションもすごく上がると思うんですよ〜。だから私は絶対『ありがとうカード』を導入するべきだと思います〜。みんな幸せになれるので〜」

 

 

え、宗教かじってます?

 

 

まじで一回のターンで何回「ありがとう」って言うの?その回数はもう宗教かSMAPかしかないじゃん?

 

※知らない人のためにSMAPのありがとうを載せておきます

 

 

「ありがとう」ってすごくいい言葉のはずなのに、熱弁を振るう女性を見ると、なぜだかだんだんとその笑顔が恐ろしく見えてきてしまいました。

 

そしてまた男性陣のアイコンタクト。

 

「この案はチームとして良くないから、封じ込めよう」

 

その瞬間、初めて出会ったはずの僕ら男性陣の心は明らかに通じていました。「行くぜ」静かに動いたような気がしたリーダーの唇に僕たち男性二人は静かに頷きました。

 

リーダー「みなさんすごい良い意見だと思います。全部採用したいですけど、なかなか時間の都合もありますし、どうしたらいいですかね」

 

HIT!!

 

僕「時間もないことですし、とりあえず今出なかった案は全て除外しませんか?さらに二人以上が選んだ策だけ残してそこから3つを絞るという議論にするのはどうでしょう?」

 

2HIT!!

 

 

男B「いいですね。私は賛成です」

 

 

3HIT!!

 

 

リーダー「素晴らしいですね。私もそれがいいと思います。ではその方針で進めましょうか」

 

 

4HIT!!!!

 

 

僕・男B「異議ありません!!」

 

 

5HIT!!!!   GREAT COMBO!!!!

 

 

みよ、この華麗な「ありがとうカード」封殺コンボを。

 

「二人以上が選んだ案のみ勝ち抜ける」とすることで自ずと「ありがとうカード」を場外にぶっ飛ばすことができるこの神案を残りの二人が違和感なく支え、まるで世論であるかのごとく持っていく神業のコンボでした。まさにこの瞬間、僕たち三人はルフィ・エース・サボ並みに心の通ったブラザーでした。

 

そのコンボに圧倒されたのか、ハッピーライフ教の彼女も渋々頷きました。よかった、一安心でござる、地球の危機は去ったのである、と安心して議論を進めていると。

 

女性「うーん、インセンティブも社内表彰も悪くはないと思うんですけど……」

 

嫌な予感がバリバリし、僕ら男性陣はまたアイコンタクトを取りました。

 

女性「なんというか、やっぱりお金を払うだけじゃ気持ちって伝わんないと思うんですよ。社内表彰もそうです。心がこもってなかったら伝わらないじゃないですか」

 

そりゃ勝手に心こもってない前提にされたらなんでもそうなるだろう、という言葉をぐっと飲み込み、もうだいたい読めた行き先にただ思いを馳せていました。

 

 

女性「だから、やっぱり私は『ありがとうカード』を推したいです」

 

 

お前、「ありがとうカード」とデキてんのか

 

 

「やっぱり」とかないのよ。もう「ありカー」は一次落選してんだから。俎上に載ってないのに奥から出されても困るんですよ。「私は……」?いや知らんて。少女漫画の主人公じゃないんやから、知らんて。もう男性陣全員引き攣った笑いを浮かべてましたからね。

 

あと、言ってることはわかりますし、個人の感情は否定できませんけど、僕は彼女に「本気でそう思ってますか?」と尋ねたくなりました。それ自分がモチベーションを上げてもらう側の社員の立場になっても一番に「ありカー」選びますか?と。あなた、今面接官に対していい子ぶるために「ありがとう」への感情を捏造していませんかと。そういういいこぶりでポイント稼げるのは中学生までなんですよ。

 

そこからはもうコンボを決めるのも煩わしくなったので、「じゃあありがとうカード多数決取りましょうか」という強制バトルに放り込み、男性陣全員手を挙げないという強硬策で乗り切りました。

 

いや、本当にこの話だけ聞いて「女の子に対してひどすぎない!!?」って怒り狂う読者の方もいるかもですが、グループディスカッションって制限時間ゴリゴリの朝まで生テレビじゃないんで一人の意見を吸い上げていてもキリないんですよね。だから自分の意見が少数になっちゃった時は潔く退かないといけませんし。

 

ここでちょっと僕から今後就活を経験する方達にお伝えしたいのは、グループディスカッションで評価されるのは「意見を通す力」じゃなくて「傾聴力」と「協調性」なのだということです。要するに「自分の発する意見の内容」よりもそれ以外の面の方が見られています。ちなみにですが、この「ありカー」女子はこのグループディスカッションの次の選考にはいませんでした。

 

あと社会人になって5年以上経ち、やっと最近気づいたことですが、「正論」ってどんな状況でも絶対正義っていうわけではないんですよね。特に会社、人と人との関わりが欠かせない場においては特にそうだなと思います。これはすごく思うのでいつか会社でのエピソードを交えて面白おかしく記事にしたいですね。

 

というわけで就活シリーズいかがでしたでしょうか。もし思い出したらまたやりますが、とりあえず思いつくストックは切り終わったので、皆さんも僕の失敗談を参考に就活を頑張ってください。

 

 

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