突然ですが、あなたは「ヤバイト」という言葉をご存知でしょうか。
僕が今12秒で考えた造語なのですが、「ヤバイ」「バイト」で「ヤバイト」です。(小学生以下の発想)
以前紹介した記事でバイトの経験について触れました(以下参照記事)が
少ないながらにもやっぱりバイトでの経験の中にはとんでもないやつもあるのでそこらへんを紹介しようと思います。
今回は僕が経験した5つのバイトの中でも最も勤続期間が短く、唯一バイトに行くのが憂鬱で一番最悪だと思っていたバイトについてです。
あれは大学の合格発表が終わった後、大学入学までの春休みの期間でした。
大学に入ったら出費だらけなのはわかっていたので、バイトを探し始めたわけですがとにかく早くお金が欲しいという状態です。
そんな折、見つけたのが某チェーンの居酒屋のアルバイトでした。
その求人は特に時給が高いわけでもなく、「アットホームな職場です!」と言って笑顔のアルバイターたちを並べた写真を採用しているような今思えばTHE地雷職場だったのですが、そんなことはつゆ知らず「お金のない方もOK!! 週払い制度※あり」の文言に惹かれ吸い込まれるように友人と応募してしまいました。
※1週間ごとに給料を振り込んでもらえる制度
その居酒屋も人が足りていなかったのでしょう。すぐに採用されて働き始めた僕でしたが何しろ初のバイト、加えて料理経験もないのに厨房で全く仕事になりません。毎日がてんやわんやの状態でした。
てんやわんやな理由の一つにあったのが、そのバイト先のいた人たち。
厨房の男のバイトたちは成人していましたが、「今でもヤンチャしてます、バイクを猛らせて深夜飛ばしまくってます、売られた喧嘩は速攻買います」みたいな一応社会には適合しているけど中身は獣みたいな人達ばかりでした(めちゃめちゃ失礼ですが基本的には良い人達でした。ヤンキーに基本良い人が多いのと同じシステム)
そして店長。
この店長がまさしく曲者だったのです。
店長は、よくYoutubeに出てくる「髭が濃すぎた俺が○○を使ってツルツルプリプリな肌を手に入れて女にモテまくり!!?」みたいな広告動画のBeforeのやつみたいな青髭をたくわえ、一度も整えたことがなさそうな眉毛を細い目の上にのせた風貌で、社会人になってみると「仕事できなさそうだな」と思うような見た目でした。
そして「名は体を表す」を地でいく形で
・性格がとにかくねちっこい
・すぐにキレる
・都合の良い時だけ部下にもゴマする
みたいな人でした。
その先輩たち+店長のプレッシャーで常に緊張していてミスをしていたような記憶がありますね。まぁそもそも2ヶ月しかいなかったので初心者のレベルのままやめてしまったわけですが。
まず最初の出来事は一週間経過したときに起こりました。
友人(以下参照記事)は3日ほどで「クソやん」と言ってやめてしまったので、もうすでに僕は孤立していました。
しかし僕には希望がありました。
(やっと1週間経った!これで僕はこのバイトを選んだ一番の目玉制度「週払い制度」を使うことができるぞい!早速現ナマを手にすることができるぞい!)
そしてウキウキしながら店長の元に行きました。
僕「あの〜、週払い制度っていうのがあるんですよね」
店長「あ〜? なんかそんなんあったかな?」
えっ
店長の反応に嫌な予感を感じました。
僕「求人広告には書いてあったんですけど……」
店長「あー、なんかあったかもね。でも誰も使ってないし、使うのに申請書みたいなやつを本社から取り寄せんいかんからクソ面倒臭えーんよね。誰もそんなん使ってないし」
めちゃめちゃ制度を使いづらい言い方
誰も使ってない+クソ面倒臭い+誰も使ってない(二回目)の三段コンボで明らかに「お前、察せよ。週払い制度使いたいとか言うなよ」感をバリバリ滲ませてきました。
空気を読む力に長けていると言われる日本人。例に漏れず僕も空気読み能力はあり、「あ、そうなんですね〜……はは」と泣く泣く週払い制度の申請を諦めました。今、記事を書いていて初めて気付いたんですが、この時点で既にこのバイトを選んだメリットなくなってるんですよね。週払い制度だけに惹かれてきてんだから。
この「週払い制度封殺事件」あたりで既に店長に対しての不信感が湧いていたのですが、その後しばらくしてとんでもない事件が起こるのです。
とある日の厨房でのこと。
何きっかけかは覚えていませんがバイトの先輩の一人と店長の間で険悪なムードが漂い始めていました。
厨房とホールは料理を受け渡すカウンターみたいなところで繋がっており、店長は基本的にホールを巡回しているのですが、料理を取りに来るタイミングで厨房に聞こえるか聞こえないか絶妙な音量で文句を言ったり舌打ちしたりするのです。
「チッ……おせえんだよ」
「さっさと出せやボケ」
「トロトロすんなって」
こんな事を言ってた記憶があります。
でやはりこちらにも聞こえるので先輩Aは明らかにキレ始めていました。
先輩A「あいつ(店長)さっきから何をほざいとるん?」
僕「え、え、え、いや、じ、じ、じ、自分あんまり聞いてませんでした」
先輩A「マジなめとるわあいつ。調子乗りすぎやろ」
そして次に店長が受け渡し口に来たときに先輩Aは
先輩A「グチグチグチグチうるせえんだよ」
とはっきり言ってしまったのです。
僕はその時戦々恐々とはしながらも「受け渡し口をセーフティゾーンにして口論するあたり、檻で区切られている時だけめちゃめちゃ吠え合うワンちゃんみたいだなぁ」とも思っていました。
しかし、そこから急展開でした。
店長「なんつった貴様」
即、厨房の中に回って来て先輩Aの胸ぐらを掴む店長。
先輩A「言いてえ事あんならハッキリ言えって言ってんだよ!!!!」
胸ぐらを掴みかえす先輩A
前言撤回。全然ワンちゃんじゃありませんでした。
もうさ、沸点の低さがおかしいのよ。仕事中やで?お給料発生してんのやで?おかしいでしょ?この時間、胸ぐらつかみ合いに給料発生してるってこと?刃牙なの?
しかも、お客さんが壁ひとつ隔てた先に何組もいるんですよ。なんで厨房入った瞬間、店員同士が胸ぐら掴みあってんのよ。異世界すぎるじゃん。これが最近はやりの異世界転生モノか?
そして店長と先輩Aの胸ぐらつかみ合いに挟まれる僕
厳密に言うと挟まれたと言うより、厨房狭すぎて三つ巴みたいな位置関係になってしまった感じですね。僕は即、その二人からは背を向け「目の前の唐揚げ盛り付けに全身全霊注いでいるから喧嘩が起こっていることに全く気付いていないマン」を演じていました(無理がありすぎる)
するとすぐに厨房の奥にいた一番歴が長い先輩Bが仲裁に入って来ました。さすがベテラン、頼れると思ったのもつかの間
先輩B「てめえらやめろ!!!殺すぞ!!!」
口が悪いって
小火を鎮火しようとガソリンドバドバぶっかけているのと同じで、他の人が感情昂ぶっちゃうとそこからまたどんどん周囲の感情が昂ぶっちゃうんですよ。より喧嘩がエスカレートしちゃうんですよ。
ただ先輩Bは体が一番デカかったので無理矢理二人を引き剥がすことができて、なおかつそのまま従業員控室に連れて行くことができました。
普通に考えてアルバイトとアルバイトの喧嘩を店長が仲裁するのではなく、アルバイトと店長の喧嘩をアルバイトが仲裁する不条理に驚いていましたが、これが初めてのバイトだったので「社会ってやべえ……」とひたすら唐揚げ盛り付けながら震えていました。
そして従業員控室に入ってから1時間強出てこない3人
途中で
「え?3人和解して映画見始めたの?」
と思うくらい戻って来ませんでした。
夜6時にオープンして11時にクローズでつまり5時間しか営業してないのにその中で和解に1時間強かける?しかも店長が?
そして誰もいなくなった厨房で僕はパニックになりながら焼き鳥を焼いていた
1ヶ月くらいのバイトを一人にしてオーダー全部捌かせるな
結果、その後和解したらしく何事もなかったかのような顔をして3人は戻って来ました。しかし僕の心の中には「このバイト先、やべ〜のでは?」と言う不信感が募りまくっていました。
その後、
使おうと思ったら突然壊れたガスバーナーみたいなやつを「お前が壊したから自分で買って弁償しろや」と言われたり
普通に冷蔵庫にある野菜を盛り付けて料理を出したら料理受け渡し口から「ニワトリのエサ出すな!」(?)と怒られたり
ホールのめちゃ可愛い娘と控え室で二人きりになった時、「ちょっと上着替えるからこっち見ないでね」と言われ昂り、「普通出て行けって言うよな?出て行けって言わないであんな優しく妖艶な口調で『こっち見ないでね』って言うことはつまり?それは?LOVE?」とか童貞丸出しの考えでにやけて好きになりかけていたら同じ職場の先輩の彼女で落胆したり(最終的には営業時間外に店内でイチャついているところを見せつけられたりして脳が破壊された)
結局、バイトに行くのがすごく憂鬱になって2ヶ月ほどで辞めてしまいました。
それから2年ほど。
成人式でたまたま会った中学の同級生が、僕が辞めた後のそのバイト先でバリバリ働いていたことを知りました。
僕「まじか〜。すごい偶然もあるもんやな。今も働いてんの?」
同級生「いやぁ辞めたよ」
僕「なんで?バリバリ働いてたんやろ?」
同級生「後半、給料払ってくれんかった」
OH、This is 「ヤバイト」
働き続けなくてよかったなと心底思った瞬間でした。
皆さんも「ヤバイト」に出くわしたら躊躇せずにすぐに辞めてくださいね。
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