コロナ禍で春ドラマが延期になっていましたが、やっと始まりましたね。
その中でもやっぱり話題なのは「半沢直樹」ではないでしょうか。
僕は池井戸潤氏の作品が結構好きなので、いくつか読ませて頂いています。「半沢直樹」ももちろん大好きで、原作4作品は全て読んでいます。
※銀翼のイカロスが見当たらなかったので、とりあえず「殉教カテリナ車輪」を入れておりますことをご了承ください。
今回のドラマもやっぱり面白いですね。
僕は「ロスジェネの逆襲」がめちゃめちゃ好きで、現在のドラマはまさにそのロスジェネの話なのですが、小説を読んでいるといかにドラマが練られて構築されているかがよくわかります。
具体的には第一話の冒頭の伊佐山部長が語るシーンが後半に繋がっていたり、前半、半沢が平山社長からモットーを尋ねられるくだりが後半につながるなどですね。
で、相変わらず面白い「半沢直樹」ですが、社会人が本作品を鑑賞する上では注意しなければならないことがあります。
それは
「半沢直樹」はゴリゴリのファンタジー作品であるということ。
ファンタジー作品といえばめちゃめちゃありますが、わかりやすい例をあげると「ハリーポッター」とかですかね。魔法使いとか魔法学校とかもうファンタジーのど定番って感じですよね。
もっと言えば「ゲゲゲの鬼太郎」とか「アンパンマン」とか「ドラえもん」とかもファンタジーに当たると思います。
半沢直樹はそこらへんと同じ類のものなのです。
「えっ、なんで? 半沢直樹の舞台ってもろ現実っぽいよね?」
そう思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、
ドラマはドラマ。現実は現実。
虚構は虚構。現実は現実。
なんです。
これはもう社会人を長く経験している方なら言うまでもなくわかってあると思いますが、今回敢えて若手社会人向けに書かせていただきます。
どうして半沢直樹がファンタジーなのか?
答えは単純明快です
上司にこんな顔したら会社生活終わるからです。
なんですか?この筆舌に尽くし難い表情。めちゃくちゃ並んだのに目の前でお目当てのスイーツが売り切れた瞬間の顔ですか?兎にも角にもアンガーマックスな顔なのは間違いありません。
こんなブチギレた顔を社内で、しかも上司にできるっていうのはファンタジーでしか有り得ません。しかも一つ付け加えると部長職と言う社会の酸いも甘いも知ったベテランが上司に対してやってるのが余計にファンタジーです。
半沢直樹って、一見すると正しいことを言ってるように見えるじゃないですか。
でも社会人としては多分ほとんどの人が半沢のことをNGだと言うし、半沢みたいなことをしようとは思わないはずです。
それはなぜか。理由は二つあります。
①会社で成り上がるために最も大事なのは「上司の評価」だから
新社会人や、まだ社会人になっていない人にとっては「一匹のゴキブリがいたらその家には100匹のゴキブリがいる」くらいに最悪な情報かもしれませんが、僕はこれが社会の真理だと思っています。
見れば一目瞭然ですよね。この真理は半沢直樹とは対極の存在です。
まぁ、昇格も上司が評価をして行うものですからね。いくら仕事が早くても一挙手一投足上司に反抗するような人を昇格させたいとは思わないですよね。
想像してみてください。
和田アキ子さんが自分の部下だったとしたらどうですか?
仕事は早いですが、事あるごとに
「それ、ワタシちゃうと思うねんなぁ」
「いや、おかしないそれ?」
「ワタシがやらなあかんの?それ」
と言ってくるんですよ(あくまで僕の想像です)
こうやって反抗してくる人を昇格させたいと思いますか?
思わないはずです。
あまり反抗されると、評価したくなくなるし、昇格だってもってのほかでしょう。
上司だってただの一人の人間ですから。
なので、ゴマをすりまくれとは言いませんが、理不尽な事に対していちいち突っかかるようなことはやめた方がいいでしょう。それでもその上司のことが嫌ならば、そこで争っていても時間の無駄なので転職しましょう。
半沢直樹は結局ファンタジーなので、正論を言って相手に土下座させたりしている割に昇格したりできていますが、リアルな世界で半沢スタイルでやるとマジで沖ノ鳥島まで左遷されます。
②本当に仕事ができる人は正論ばかりを言うだけではないから
「正しい」「論」と書いて「正論」ですが、社会人である以上、必ずしも正論ばかり言ってればいいというわけではありません。
ここは僕がそれを学んだエピソードを一つ。
僕が一般管理部門で仕事をしていた時、会社の悪いところを是正するために新しいシステムを導入することになりました。
僕が導入や仕組みづくりをある程度任され、進めていたのですが、やはり新しい仕組みを作る以上、一部の人はこれまでしなくてよかったことをしなければならなくなります。
そして、システム導入に関しての説明会。
その中でその一部の人の中にいた社内アウトローの課長が、僕に噛み付いてきました。
「こっちの手間を増やすようなことをやって、管理部門のくせにどういうつもりや。管理部門の仕事はこっちのサポートじゃねえんか」
これを聞いた瞬間、若かりし僕の中の半沢直樹がむくむくと体を起こしました。
「いやいや。できていないことをできるようにするためのサポートしてるんじゃないですか。
あと、手間って言いますけど、
例えば、これまで従業員に手洗いをさせていませんでした、って飲食店があるとします。
そこで
『今後きちんと手洗いをするような仕組みを作りましょう』
って言う人に対して『いや手洗いなんかする手間を増やすな、現場は忙しいんだ』っていう人がいたらどう思います?おかしいなと思いません?
それと同じなんですよ。
手間がかかるどうこうの前に、本来当たり前にやってなきゃいけないことなんです。
そんな当たり前のことがこれまでずっとできていないから、仕組みを入れないといけなくなったんです。
できていないことを棚上げして、手間がどうこうというのは違うように思いますが」
これをオブラートに包んだようなことを言ったのですが、案の定アウトロー課長はブチギレました。
なんとか他の方の力も借りてその場が丸く収まった後で、僕は同席していた上司からこう言われました。
「百井くんの言ってることは正しいんやけど、やっぱりはっきりと相手の神経を逆なでするような事言うと反発されて業務上うまく回らなくなることがあるよ。相手も一人の人間やしね。
正論を言うよりも、相手に気持ち良く動いてもらえるように考えて発言することを心がけたほうが、結果うまく行くことが多いから
間違ってる相手に頭下げても、トータルで自分の目的が円滑に進むならこっちの勝ちだ、っていう考えも持っとかないとね」
この言葉は僕になかなかの衝撃を与えました。
「自分が正しい」よりも「円滑に目的を達する」ことを優先するのが大人のビジネスなのか……。
その後、いくつかのビジネス書でも
「人は正論では動かない、感情で動く」
「自分が正しいと思っている時点で、あなたは間違っている」
「相手を自分の思う通り変えるなんてことはできない。自分が相手を変えるために何ができるかだけを考えろ」
みたいなことが書いてあり、僕は心の中の半沢直樹をボコボコにして心の奥の深海に沈めました。
少し長くなりましたが、結局仕事のできるビジネスマンになるためには「正しいか正しくないか」よりも「目的達成できるかどうか」に重きを置いた方が良いのではないかということです。
一人一人のそういった心がけが良い会社を作っていくのではないでしょうか。
こんな顔で争いまくる社会人がいる会社が良い会社のわけないわな
とまぁ、若手社会人の方向けに書きましたが、何よりもきちんとファンタジーとして見ることができれば半沢直樹は最高のエンタメです。
日常で上司に鬱憤を抱えている部下も、日曜日の21時から1時間だけは半沢直樹に自分を重ねて脳内で理不尽な上司をボコボコにすることができるのです。
社会人のみんな。
理不尽なことはありまくるけど、腐らずに仕事頑張って行こうぜ。
ちなみに仕事できないマンの僕はもう仕事辞めたいです(突き放しEND)
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